ようこそ KMC学習所へ 令和4年11月8日更新

 コロナが発生して以来、3年近い歳月が過ぎようとしている。この間、感染波が7回も襲来し、鎮静するどころか次第に大きな感染波になってきている。新規感染者数は波が襲来する毎に増加しているが、重症者数や死者数が減少しているためか、以前のような緊張感を社会全体から感じることが無くなっている。しかし、新しい変異株は頻度高く現れているし、コロナ菌の繁殖は繰り返されている。感染環境は新しい環境に変化しながら拡大している。世界的にパンデミックはまだ鎮静化されていない。

 感染波がある一定水準を超えるまでに拡大すると、その後はロジスティック特性に基づき指数関数的に急拡大し短時間に鎮静化を図ることが困難になる。短時間に急拡大して各方面への影響が大きくなると、回復の期間も長期化するとことになり、医療逼迫や経済的損失を大きく受けることになる。更に、世界経済や世界で発生している種々の事件の影響を受けて、円安や物価の高騰による経済的不安定が増すと、企業倒産、失業者や生活困窮者の増加などの社会不安が増してくることになる。

 8月以降、1週間前の平均値に比べて0.6~0.8の割合で減少しながら、東京都の新規感染者数は減少傾向が続いた。変異株BA.2.75の置換が報じられているが、第7波から新変異株による第8波の発生という事態に進んでいくのであろうか。このまま進み東京都の新規感染者数が週間平均値で1000人/日から100人/日の規模にまで減少するようになると、そのタイミングを狙ってオミクロン対応ワクチンの接種率を60~70%を超える水準にまで高める手段が短時間に実行できると、コロナの感染環境が改善されてコロナが消滅する期待が持てるような可能性が生じるが問題もある。そのための準備時間が十分に確保できるどうか。適切な水際対策が同時に実行できるかどうか。現時点では、このタイミングが鎮静化を実現するための唯一のチャンスと考えられる。

 心配の種は、現在政府が進めている感染対策は場当たり的な対策で鎮静化のための手段としては不十分である。東京都の新規感染者数が3000人/日前後のレベルで下げ止まりの傾向が現れ、第8波の再感染が始まる予兆が現れ始めている。再感染が始まると感染波の鎮静化は長引く傾向になる。その後は、今までと同じような感染波の繰り返しを経験することになり、ワクチン接種の持続と適切な治療薬や常備薬が開発されるまで、鎮静化は当分期待できなくなるであろう。感染状況の分析が不十分のまま、経済再生を考えて人の行動を活性化させ、水際対策を緩和させる政府の判断の誤り、場当たり的な対策の実施が感染を拡大させることになり、パンデミック期間を延長させることになっている。

 コロナ危機に遭遇して、日本の国が抱えている多くの社会問題が赤裸々になった。昭和末期から平成時代30年の間に心配していたことであるが、日本の社会は質的にも量的にも劣化した。社会が劣化したことは、日本国民の生活が劣化したことになる。最も大きく劣化したのは政治的な劣化である。戦後生まれの民主主義を理解できていない世代や敗戦復興後の豊かさだけを満喫し尽くしてきた世代の世襲政治家としての台頭が、日本の社会を正しく導く能力を消滅させ、「虚飾と傲慢さ」が横行する社会にしてしまった。その結果、ピーターの法則が示すように、コロナ危機という百年に一度の世界的な災害に遭遇し、対応能力を失い国民を不幸に導く事態になってしまっている。

 特に、民主主義的考え方の劣化が甚だしく、必要以上に権力を行使する傾向が強くなった。欧米の先進国と比較しても、その傾向が種々の面で顕著に現れている。平成時代以降、社会が抱える種々の問題が無視することができない状態になってしまった。特に、政治社会に「政治家主導」の考え方が取り入れられて以降この傾向が顕著になった。それ以前の政治は「官僚主導」の形で進められていたが、「政治家主導」の考え方が政治家からの主張で取り入れられ変えられたが、平成時代の政治家に社会をリードしていく能力が欠如していたため、従来のような政治が進められなくなり、各種の面で停滞していった。科学技術力の低下や経済成長力の後退、国民の生活水準の劣化、社会の仕組みの弱体化、政治体制の陳腐化、デジタル化の遅れ、医療体制の不整備、リスク管理体制の不整備、多様化の遅れ、貧富の格差、教育格差、性別格差、子供の貧困化問題、災害対応能力の不備、新興宗教による汚染、将来展望の欠如など、先進国としての遅れが顕著になってしまった。若者が日本の将来に期待や夢が持てない状態に進んでいった。

 更に、国際環境の悪化に伴って、現在の日本の防衛体制や防衛能力で国民の生命を守る体制が整っているのかどうかが疑問になってきた。コロナ危機に直面してこれらの諸問題が一層顕著になった。多方面の課題を同時に解決しなければならない局面は今後の社会運営を困難にするであろう。今後、これらの諸問題を社会構造の体質改革を推進する課題として捉え、計画的に検討を進めなければならない。そのためにも、平成時代30年間の失政を的確に反省し、現在発生しているパンデミックのリスク対策も含めて、適切に対応できる体制を早急に整備すべきである。対策の計画・立案・実行には相当の期間が必要になるだろう。全国民の協力が不可欠となるであろう。

 KMC学習所では、これらの問題に関連する話題を取り上げ、科学技術的な観点や情報技術的な立場から分析し、日本社会の構造的体質問題、経済成長と日本の産業構造の問題、デジタル化社会に関連する問題、デジタル教育に関する問題などについて、戦後復興に実社会で携わった一員として諸見解に触れ、考えてみたい。