ようこそ KMC学習所へ 令和5年1月16日更新

 世界にコロナが発生して以来、3年の歳月が過ぎた。この間、日本では感染波が7回も襲来した。新規感染者数は波が襲来する毎に増加してきたが、重症者数や死者数は減少しているためか、以前のような緊張感を社会全体から感じることが無くなっている。しかし、新しい変異株は頻度高く現れているし、コロナの繁殖は繰り返されている。感染環境は新しい環境に変化しながら拡大している。世界のパンデミックはまだ鎮静化されていない。

 昨年の8月以降、1週間新規感染者数の平均値は前週比で0.6~0.8の割合で減少していたが、政府が昨年11月に全国旅行支援や水際対策の大幅緩和を実施し、感染防止対策よりも経済再生対策を優先する方針に転換してから1週間新規感染者数の平均値は前週比の1.1~1.15の割合で増加するようになった。現在オミクロン株BA.5中心の感染拡大であるが、新規の変異株が感染拡大の中心に変化すると指数関数的に感染拡大し、第8波の感染拡大に至ることになる。

 お隣の中国では、この3年間「ゼロコロナ」を推進してきたが、世界的な感染拡大の中で目標の達成が進まなくなってきた。PCR検査の強化、庶民の行動制限、感染発生と同時に特定範囲で実施されるロックダウンと生活監視の強化などで庶民の欲求不満が高まり上海や北京などで騒動が発生した。これをきっかけに全国的な白紙運動が広がりを見せため、中国政府はこの運動を鎮圧するために急遽コロナ政策の「ゼロコロナ」を撤回し、すべての拘束条件を解除した。中国は人口14億人の国であり、2月には春節が控えている。庶民の行動は急な制限解除に対応して素早く活発さを示し、それに伴って感染者数も大幅に拡大し、感染による死者数も増加するようになった。

 国内外のこれらの変化に伴って、国内の第8波の感染拡大は避けられない事態になってきている。感染波が一定水準を超える規模まで拡大するようになると、その後はロジスティック特性に基づき指数関数的に急拡大し短時間に鎮静化を図ることが困難になる。政府は水際対策の強化で中国からの新規感染者や新変異株の侵入の阻止を図ろうとしているが過去の例から考えて不可能であろう。短時間に新変異株などが急拡大して各方面への影響が大きくなると、新規感染者数も大幅に増加し、回復の期間も長期化することになる。医療逼迫や経済的損失も大きく受けることになり、感染の死者数も増大する。加えて、世界経済や世界で発生している種々の事件の影響を受けて、円安や物価の高騰による経済的不安定が増すと、企業倒産や失業者、生活困窮者の増加などの社会不安が増してくることになる。どうやら今年は厳しい経済的環境や不安定な社会環境に追い込まれることになりそうである。

 コロナ危機に遭遇して、日本の国が抱えている多くの社会問題が赤裸々になった。昭和末期から平成時代30年の間に心配していたことであるが、日本の社会は質的にも量的にも劣化した。社会が劣化したことは、日本国民の生活が劣化したことになる。最も大きく劣化したのは政治的な劣化である。戦後生まれの民主主義を理解できていない世代や敗戦復興後の豊かさだけを満喫し尽くしてきた世代の世襲政治家の台頭が、日本の社会を正しく導く能力を消滅させ、「虚飾と傲慢さ」が横行する社会にしてしまった。コロナ危機という百年に一度の世界的な災害に遭遇し、対応能力を失い国民を一層不幸に導く事態になってしまった。

 なかでも、民主主義的考え方の劣化が甚だしく、必要以上に権力を行使する傾向が強くなった。特に、政治社会に「政治主導」の考え方を取り入れて以降その傾向が顕著になった。それ以前の政治は「官僚主導」の形で進められていたが、「政治主導」の考え方が政治家からの主張で取り入れられ変化した。しかし、当時既に外来の宗教汚染が進みつつあった平成時代の政治家には健全な民主社会をリードしていく能力もなくなり、従来のような官僚主導の政治すら機能しなくなり、各種の面で停滞していくようになった。科学技術力の低下や経済成長力の後退、国民の生活水準の劣化、社会の仕組みの弱体化、政治体制の陳腐化、デジタル化の遅れ、医療体制の不整備、リスク管理体制の不整備、多様化の遅れ、貧富の格差、教育格差、性別格差、子供の貧困化問題、災害対応能力の不備、新興宗教による汚染、将来展望の欠如など、先進国としての遅れが顕著になり、国会軽視の傾向すら現れるようになった。その結果、民主主義の考え方が後退し、多くの若者が日本の将来に期待や夢が持てない状態に進んでしまった。

 更に、国際環境の悪化とコロナ危機に直面して、現在の日本の防衛体制や防衛能力で国民の生命を守る体制が整っているのかどうかも疑問になり、多方面の課題を同時に解決しなければならない局面に追い込まれるようになった。今後、これらの諸問題を社会構造の体質改革を推進する課題として捉え、計画的に検討を進めるためには、平成時代30年間の失政を的確に反省し、現在発生しているパンデミックのリスク対策も含めて、適切に対応できる体制を早急に整備する必要がある。対策の計画・立案・実行には相当の期間が必要になるだろう。多くの組織や国民の協力が不可欠となるだろう。

 KMC学習所では、これらの問題に関連する話題を取り上げ、科学技術的な観点や情報技術的な立場から分析し、日本社会の構造的体質問題、経済成長と日本の産業構造の問題、デジタル化社会に関連する問題、デジタル教育に関する問題などについて、戦後復興に実社会で携わった一員として諸見解に触れ、考えてみたい。